和漢養生「不眠・睡眠障害」

目次
東洋医学で考える「不眠・睡眠障害」の原因
東洋医学では、良い眠りは体の「気(エネルギー)」と「血(血液や栄養)」がバランスよく流れていて、心も体もリラックスしている状態が大切と考えます。
不眠や睡眠障害は、このバランスが乱れて、体や心が休まらない状態が続くことで起こります。
主な原因は、
- ストレスや緊張で心が落ち着かない
- 体が疲れているのに血の巡りが悪くて十分に休めない
- 体が冷えてリラックスしにくい
- 生活習慣の乱れや食生活の影響
などがあります。
対処療法
1.経穴指圧(ツボ押し)
眠りを促すツボをいくつか紹介します。
- 神門(しんもん)
手首の小指側の少しくぼんだところ。心を落ち着かせ、リラックスを助けます。 - 安眠(あんみん)
耳の後ろの骨の下、くぼみのあたり。眠りを深くする効果があります。 - 失眠(しつみん)
かかとの中心、足の裏側の少し上。体の疲れを取ってぐっすり眠りやすくします。 - 百会(ひゃくえ)
頭のてっぺん、両耳の延長線が交わるところ。気の巡りを良くして、全身をリラックスさせます。
押すときは指の腹で軽く、気持ちいいくらいの強さで3秒ほど押してゆっくり離すを繰り返します。
2.生活養生(生活習慣の改善)
- 規則正しい生活リズムを作る
毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるよう心がけましょう。 - 寝る前のリラックスタイムを持つ
スマホやパソコンは控えめにし、読書や軽いストレッチをして体をほぐします。 - 寝室の環境を整える
暗く静かな場所で、適温(暑すぎず寒すぎず)を保ちましょう。 - カフェインやアルコールを控える
特に寝る数時間前は避けるとよいです。
食養生(食事で体を整える)
- 温かい飲み物をとる
例えばホットミルクやカモミールティーなど、体を温めてリラックス効果があるもの。 - 消化に良いものを夕食に選ぶ
重すぎる食事は睡眠の妨げになるので、野菜や雑穀、温かいスープなどがおすすめ。 - 眠りを助ける栄養素を摂る
ビタミンB群(豚肉、豆類)、カルシウム(牛乳、葉物野菜)、マグネシウム(ナッツ類、海藻)をバランスよく。
4.セルフケア
- 深呼吸やゆったりしたストレッチ
寝る前にゆっくり深呼吸をして体の緊張をほぐしましょう。 - 温かい足湯やお風呂
体を温めることでリラックスしやすくなり、寝つきがよくなります。 - 心地よい香りを利用する
ラベンダーやカモミールの香りはリラックス効果が高いので、寝室で使うのもおすすめです。

まとめ
東洋医学では、不眠や睡眠障害は「心と体のバランスの乱れ」「血や気のめぐりの悪さ」が原因と考えています。
ツボ押しや規則正しい生活、温かい食事やリラックス法を取り入れることで、ぐっすり眠れる体を作っていけます。
Advisor Comment

角 麻衣(すみまい) 鍼灸師・イヤービューティセラピスト協会 上級セラピスト兼講師・不妊カウンセリング学会所属
フィットネスクラブ社員として11年勤務後、鍼灸師の資格取得し転身。広尾の治療院で美容鍼灸や全身治療の施術経験。
業界No.1の鍼灸接骨院での勤務経験を通じて全身治療とトレーニングやストレッチなどのセルフケアのアドバイスも行う。
特に女性の不調に関する治療を得意とし、幅広く治療を行っている。
加齢や様々なストレスによって不眠を引き起こしている方が多いです。
ストレスはうまく発散させることが大切ですが、それ以外にもストレッチや深呼吸、軽めの運動などによって体内の気や血の流れを良くすることが質の良い睡眠につながります。
また、体の凝りが原因の場合もありますのでセルフケアはもちろん、マッサージや鍼灸などを利用してみるのも良いでしょう。