和漢養生「眼精疲労」

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東洋医学で考える「眼精疲労」の原因

東洋医学では、目の疲れは体全体のバランスや血のめぐりが関係しています。

目は特に「血(血液や栄養)」が豊富に流れている場所なので、血のめぐりが悪くなると疲れやすくなります。

また、長時間の目の使いすぎやストレスで、体が緊張して気や血の流れが滞ることも原因です。

具体的には、

  • 目に十分な血や栄養が届かない
  • 体が冷えて血行が悪くなる
  • 長時間のパソコンやスマホで目の筋肉が疲れる
  • ストレスや睡眠不足で体が回復しにくい

こうしたことが重なり、目の疲れや重さ、痛み、かすみなどの症状が出てきます。


対処療法

1.経穴指圧(ツボ押し)

 目の疲れを和らげる代表的なツボです。

  • 睛明(せいめい)
     眉の内側の少しへこんだところ。目の周りの血行を促進します。
  • 攅竹(さんちく)
     眉の内側の端、くぼんでいるところ。目の緊張をやわらげるのに効果的。
  • 太陽(たいよう)
     こめかみの少し後ろのくぼみ。目の疲れや頭痛にも効きます。
  • 魚腰(ぎょよう)
     眉の中央あたり。目の奥の疲れに良いツボです。

押し方は、指の腹で軽く痛気持ちいいくらいの強さで、3秒押してゆっくり離すのを数回繰り返します。


2.生活養生(生活習慣の改善)

  • 目を休ませる
     長時間の画面作業は避け、1時間に1回は遠くを見るか目を閉じて休憩しましょう。
  • 睡眠を十分にとる
     目の疲れを取るためには質の良い睡眠がとても大事です。
  • 姿勢を整える
     猫背や肩こりも目の疲れにつながるので、姿勢を正し肩や首の緊張をほぐしましょう。
  • 目を冷やしすぎない
     体が冷えると血の流れが悪くなるため、特に首や肩は温めることを意識してください。

3.食養生(食事で体を整える)

  • 目に良い栄養をとる
     ビタミンA(にんじん、かぼちゃ)、ビタミンB群(豚肉、豆類)、ビタミンCやE(野菜や果物)をしっかりとることが大切。
  • 血のめぐりを良くする食材
     ショウガや黒ゴマ、ナッツ類などもおすすめ。
  • 水分補給を忘れずに
     乾燥は目の疲れを悪化させるので、こまめに水分を取りましょう。

4.セルフケア

  • 目の周りのマッサージ
     手のひらをこすり合わせて温めてから、軽く目の周りを包み込むように優しく押します。
  • 温かいタオルを目の上にのせる
     血流が良くなってリラックスできます。
  • 目の体操
     ゆっくり上下左右に目を動かしたり、遠くと近くを交互に見る練習をしましょう。
  • 深呼吸でリラックス
     ゆっくり深呼吸して全身の緊張をほぐすことも大切です。

まとめ

東洋医学では、眼精疲労は体の中の血や気の流れが滞ったり、体が冷えていることが原因と考えます。

ツボ押しや生活習慣の見直し、食事の工夫、そして毎日のセルフケアで少しずつ目の疲れを和らげられます。

無理せずできることから取り入れてみてくださいね。

* Expert Review Note

鈴木朝美 鍼灸マッサージ治療室ともさんち院長

慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員 鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・看護師・保健師・予防医学指導士・公衆衛生修士

看護師・保健師を経験後、鍼灸マッサージ師の資格を取得。介護業界で看護師兼鍼灸マッサージ師として従事しながら、鍼灸マッサージ治療室ともさんちを開業。

現在は千葉県初のドッグカフェ併設鍼灸マッサージ院として、人とペットの健康増進をサポートしている。

統合医療の観点から内科系疾患の治療を得意とし、個々の体質に合わせたハーブボール作成や施術を通して、日常生活に取り入れやすいホリスティックケアをアドバイスしている。


長時間のスマホやPC作業、視力の問題による眼精疲労を訴える患者さんが多いです。

目のかすみや疲れ目、充血などの他に頭痛や肩こりにも関係してくるのが眼精疲労です。

当院では菊花茶に漬けたくるみ灸を用いた施術を行っています。

症状が強い場合には目をホットタオルで温めることや目の周囲のマッサージを指導し、セルフケアを通じて眼精疲労の緩和をサポートしています。

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